2011年6月4日 駆け足黒部めぐり その2

欅平で一風呂あびたらさっさと撤収。…というか、基本的に袋小路なので、これ以上いてもすることがないのです。

往路吹きさらしの普通車に揺られていたら、とても寒くて風邪を引きそうになったので、風呂上りで湯冷めしてもいけないので帰路は特別料金を奮発してリラックス車(特別料金520円)へ。

窓付き・転換クロスシートで快適なのですが、窓枠があるため眺望はイマイチ。やっぱり普通車の方が堪能できますねえ。妙に息苦しい感じです。

それにしても黒部峡谷鉄道というのは電源開発のために敷設された鉄道なので、私のような水力発電愛好家にはたまらない車窓風景なのですよね。
ただ、残念ながら、一般旅客が乗降できる駅が、黒薙、鐘釣、欅平の三駅に限定されているため、途中駅にあるダムや発電所をじっくり眺めることができないのです。

たとえば小屋平ダム。小屋平駅に降り立てば、山口文象がデザインしたというシンメトリーの美しいダムを存分に堪能できるのに、わずか十数メートル先の眺望が利きそうなところへすら行くことができず、車窓からはチラ見ができるのみ。しかも座っている位置によってはほとんど見えなかったり…。写真を撮るのも、ガタガタと揺れるトロッコの車中から、スノーシェッドや架線柱に阻まれながらの撮影になるので、本当に一瞬の勝負。
結局今回は、小屋平ダムの写真は撮れませんでした。

かろうじて撮れた沈砂池水門建屋。扇形のシンプルな建屋が上流側と下流側に向き合って建てられています。

猫又駅からは、黒部川第二発電所を眺めることができます。こちらも一般客下車不可のため、観察や撮影できる時間はごく僅か。

折角のモダニズム建築、そして隣接する目黒橋は珍しいフィーレンデール橋なので、もう少しじっくり堪能したい…。

列車を黒薙で降り、黒薙温泉へ。ホームから線路を渡り、向い側の階段を昇り、山道を進んでゆきます。

山道を歩いていると、眼下の黒薙川に掛かる一本のトラス橋が見えてきます。そしてその橋を渡る主は、鉄道ではなく、人でもなく、もちろん車でもなく導水管路です。

アップでもう一枚。

この圧倒的なスケール感。たまりません。黒薙へ来たもうひとつの目的が、この水路橋を見ることでした。

うっとりしつつ時間を忘れて撮影…。

そして温泉へ。こんな道、よく作ったなと思います。

しばらくほぼ水平な道を進んだ後、沢へ下る九十九折の階段を下りきったところにあるのが、黒薙温泉旅館です。
周囲にはなにもない、文字通りの秘湯の一軒宿です。大露天風呂でしばらくのんびり湯浴み。そして旅館の食堂でざるそばを食べてから内湯でもう一風呂…。

実に素敵な旅館です。携帯電話の電波も届かず、テレビも部屋には無くロビーに一台あるきり。
下界から隔絶されたこんな山奥で、ひっそりと湯治したい…。

列車の時間が近づいてきたので、後ろ髪を引かれつつ黒薙を後にします。

帰り道、往きの列車から撮った水路橋を反対方向から撮影。向こうには黒部峡谷鉄道の後曳橋もちらりとのぞいています。

当日中に帰宅したかったので、まだ14時台と少し早いのですが、黒薙から宇奈月行きに乗車。15時には宇奈月へ戻りました。

愛本発電所など鑑賞しつつ、最後に立ち寄ったのは富山地方鉄道の電鉄黒部駅。
駅近くの商店街には、鉄骨造の立派なアーチが立っていました。商店街のアーチというのも良いものですね。これから撮ってゆきたいテーマの一つです。

電鉄黒部駅は、全体としては田舎の日通やら役場などで見かけそうな瓦葺モルタル造の駅舎なのですが、三角屋根のエントランス部分が非常にモダンなデザインになっています。
富山地方鉄道の駅って、個性的な駅舎が多くて好きなのですよね。

そして電鉄黒部駅のもう一つの大きな特徴が、ホームの上屋。

古くから交通の要衝にあたる街だからか、この駅はホームが三面三線で、線路とホームが交互に並んでいます。そしてそのホーム全体を覆うようにして、巨大な上屋がかけられているのです。
こういうスケールの有る建築っていうのが、昔から好きで好きでたまらないのです。この駅も、中学生だか高校生のときに電車に乗っていて発見し、わくわくしたものです。

長野電鉄の権堂駅も、地下化する前はマンサード屋根の駅舎に線路を跨ぐ大きなホーム上屋という佇まいだったらしいのですが、地上線時代に見たかったなあ…。

このあと金太郎温泉と道の駅カモンパーク新湊に寄ってから帰路に着きました。帰宅は22時30分。ほぼ23時間で欅平まで往復してきたことになります。

身体がバキバキです(嗚咽)