大谷資料館

栃木県宇都宮市周辺は、住宅、倉庫、外壁などに用いられる大谷石の産地です。
街中を歩いていても、大谷石を用いた壁はもちろん土蔵ならぬ石蔵を非常に多く見ることができ、古くから建材として幅広く用いられていたことが窺えます。

「大谷石」の名は宇都宮市北西部の大谷町にちなんでいます。
大谷町一帯には、重要文化財にも指定されている大谷磨崖仏を安置する大谷寺や、太平洋戦争後に平和を祈願して建立された大谷平和観音などの石にまつわる名所が多くあります。

その一角に、かつての地下採掘場を利用して造られたのが、大谷資料館です。

駐車場。ダイナミックな石切場の跡が訪問者を出迎えます。

大谷資料館。現代的なデザインの建築で窓が大きく開放的な正面入口。

「大谷資料館」の銘を刻んだ石碑も、もちろん大谷石。

受付で入場料を支払い、まずは展示コーナーへ。
入口には運搬用トロッコの展示。

採石に利用されていたさまざまな道具が展示されています。

鉱山につきものの安全標語。
時代を感じさせるデザインです。

そしていよいよ地下採掘場へ。
入口には平面図が掲示されていますが、見学コースとして設定されているのは網掛けの部分だけで、見学コースの奥にも途方もないスペースが広がっていることがわかります。

階段を下りるといきなる広がるこの光景。
下の階段や手すりからスケールがお分かりいただけると思います。
地下だけに温度は低く、肌寒さすら感じさられます。

何に使われていたのかわかりませんが、機械が展示されていました。

とにかく「すごい」という言葉しか出てこない圧倒的な広さ。
かつてはトラックが乗り入れて切り出された石材を搬出しており、下り勾配の坂道には轍の跡が残っています。

立坑をしたから見上げて。
石切作業という実用のために穿たれた穴ですが、こうしてみると芸術作品のようにも見えてきます。

さながら地下宮殿の様相。

壁面には、石を切り出す際に使われたチェーンソーの跡が残っています。

近年では美術展やコンサートにも使用されており、アート作品のような展示物も見られます。

湧水で濡れそぼった床面が照明に照らされてムードのある光景が広がります。

順路を一周して戻ってくると、塀のように石が組まれています。

石材共同組合が構築した石垣の強度試験を行う実験場です。

訪問前は正直なところあまり期待をしていなかったのですが、スケールの大きさ、幻想的な雰囲気、そして何より私のような鉱山好きの心をくすぐる様々な設備など見所が非常に多く、皆様にもお勧めの施設です。

最後におまけ。
駐車場手前に眠るいすゞの旧型トラック。働く車の頼もしさを感じるとともに、つい「ご苦労さん」と声をかけたくなる愛嬌のあるデザイン。

 

場所はこちら。


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