国道156号 福島保木廃道 その3

前回からの続きです。

ここで隧道は終了です。「隧道データベース」によると、福島保木トンネルは5号まであるのですが、現在この道には3号まトンネルでしか存在しません。
4号と5号トンネルはいったいどこへ行ってしまったのか…。

とにもかくにも、3号隧道を抜けた先は、さながらスノーシェッドの見本市。
異なる時期に建造されたシェッドが継ぎ接ぎに続きます。

ここは側壁部分の筋交に、火の見櫓でおなじみのリング式張力調整装置をそなえたタイプ。

そして急に現代的なコンクリート造りのシェッドへ様変わり。
これまでの区間よりも幅員がゆったりとしているので、ここなら制限速度50kmでも安心。

この廃道は基本的に隧道かスノーシェッドに覆われていますが、唯一の露天区間がここ。
小さな谷を桁橋で越えています。

親柱には銘板がなく、橋や谷の名前はわかりませんでした。
そして目立つ高さと幅員の警告看板。

ここだけ外に露出していてなおかつ橋梁があるので、現役当時は冬場などかなり危険なスポットだったのではないでしょうか。

橋を越えると、またスノーシェッドの連続。

微妙なカーブが続きます。

終点近くでは、古レールが多様されていました。

対岸に現道が見えてきました。あちらもコンクリート製の長いスノーシェッドが続きます。
そして現道と廃道の合流地点、福島谷にある御母衣第二発電所の余水吐から、滝のように水が流れ出ています。その上の平場も廃道です。

途中の壁面に鉄扉に閉ざされた通路がありました。こちらも御母衣第二発電所の関連施設と思われます。

長かった廃道区間もいよいよ終わりです。
最後のシェッドは立派なコンクリート製で、現道といっても通用する感じです。

急カーブ。

いよいよ終点。ここで急カーブを描いて現道につながっていました。

出口脇には鋭角カーブを示す矢印の「スピード落せ」警告看板。

付け替えにあたり何度か線形が変更されているようで、現道を突き抜けるように進むセンターラインと、右へきつめのカーブを描くセンターラインの跡が残されていました。

スノーシェッドの終端部。
中を歩いているときは広く感じられましたが、こうやって外から眺めると、やはり微妙に狭そうに感じられます。

現在の福島保木トンネル。
カーブの少ない快適な路線に変更されたことで、事故や悪天候での通行止めもかなり減少したのではないでしょうか。

この福島歩危にかぎらず険しい区間の連続する国道156号。
たゆまぬ改良で安全で快適な道づくりを進めてくれていることに感謝しつつ、役目を終えた廃道のことも、忘れずに記憶にとどめておきたいものです。

 

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