国道418号 達原トンネル廃道 その4

その3からの続きです。

第二の崩落地を進むと、前方に平場が見えてきました。

ガードレールが手前に垂れ下がっていますが、ここから先はしばらく道形が残っていることが窺えます。

道路が途絶している手前には、落石防護壁が落ちていました。
本来落石を防ぐはずの巨大なコンクリート塊が、奥に残存する延長部分と比較すると5m以上滑り落ちています。

このような状態になっていても、まだ多少は川原に土砂が流れ込むのを防いでいるようにも感じられます。

平場の前にたどり着きました。
登れなくもなさそうに見えるのですが、露出した盛土部分がかなり脆く、ガードレールを頼りに2mほど登りましたが、そこから先は手がかりも足下もぼろぼろと崩れて行くので少々危険です。
先のほうにもう少し楽に登れそうなところがありそうだったので、大事をとって迂回することにしました。

立派な花崗岩の巨石。達原渓谷と呼ばれるこの一帯には、これよりもさらに大きな岩があちらこちらに見られます。
これらもまた、いつの年代かは不明ですが何処からか崩れ出てきたものなのでしょう。

さきほどの第二の崩落地帯を遠望。
こちらから見ると、前回のエリアもまともな道が残っているように見えます。しかし手前の道にはガードレールが残っているのに、先ほど通ってきた擁壁の部分には全くといってよいほどガードレールの痕跡は見られませんでした。
支柱を埋設していたと思われる穴は路肩に開いていたので、おそらくカードレール自体は設置されていたものと思うのですが、やはり下流側と上流側でそれだけ土砂被害の程度が異なっていたということなのでしょうか。

見上げると、落石注意の警戒標識が半身をのけぞらせるように倒れまいと踏ん張っていました。

この標識がある辺りは、擁壁下部の川床に近いところが堤防のように補強されていました。
道といってもよいくらいの広さと緩い傾斜をもっていた補強部分でしたが、数十メートルでぷっつりと途絶えてしまいました。

しばらく天然岩と擁壁だけの部分が続いたのち、下流側に再び補強がされている箇所がありました。ただし、上流側のそれよりは幅がかなり狭く、傾斜もきつくなっていました。
相当削られた跡があるので、豪雨時には多量の土石がこの部分を打ち付け、徐々に砕いているのかもしれません。

補強部分を越えると、三度目の崩落地点に到着します。
こちらは比較的安定していて手がかりも多いので、容易に登ることができました。頭上に迫る巨石群はあまり気持ちの良いものではありませんが…。

樹木やガードレール、岩など手がかりには事欠かきませんが、いつ石が崩れ落ちてくるかも分からないので、当然油断は禁物です。

斜面の途中でこの先の状態を確認。
この崩落地も路盤はすっかりやられていて、法面と側溝だけが取り残されています。
先ほどの上流側の崩落地から路盤を上り詰めてここまで来ていたら、側溝づたいに行ける所まで行っていたかもしれませんが、下から支える土量の少なさを見てしまうと、最奥部まで行く気は失せてしまいました。
取りあえずは川床を迂回して未踏だった部分を確かめるため、上流に引き返します。

いままでの崩落の連続からすると、この程度の倒木など生易しいものに感じられます。
何より地面が平らなのが本当に有り難いです。

比較的状態が良いとはいえ、所々はこうして崩れています。
こちらも今は路盤の1/3程度が消失しているだけですが、これをきっかけにしてやがてさらに崩落が進んでいってしまうのでしょう。

小崩落の先に、なにやら看板が見えてきました。

一枚目の看板は「発破作業中」。この看板が、恵南豪雨災害にあたって今後崩落しそうなところを予め発破で崩すための作業だったのか、それとも被災前にも何らかの作業が行われていた時のものが放置されているのかは分かりません。

二枚目の看板は、発破作業時間の警告。
期間が年月で記されていれば、先の発破作業中の看板とともにこの看板の意味が解明できそうなのですが、あいにく時間帯の記載しかありませんでした。

先ほど下から見上げた落石注意の警告看板。
道路からは枯れ木に阻まれてはっきりと姿を確認することができず、写真も満足なものは撮れませんでした。

発破作業をしていたことから、「火気厳禁」、「立入禁止」の立て看板も放置されていました。

そしていよいよ、先ほど登るのをあきらめた上流側の崩落終端地点に到着しました。
ここにも何か看板が倒れていましたが、うかつにも裏返して何が書いてあるのか調べるのを忘れてしまいました…。

上から見ると、やはり結構な斜度です。
下流側から探索を開始したとしても、ここを降りるのはちょっと躊躇われる感じです。

下からは分かりませんでしたが、こちらも法面下には側溝が残存していました。
こちらの側溝も、先ほどの下からの写真でわかる通り、途中で下部が中空になって途絶しています。

来た道を戻る途中、なにやら暢気なイラストの描かれた看板が落ちているのを発見しました。
ヘルメットをした作業員とその奥さん、子供と思われる人物や鉄柱らしきものが描かれていて、一見すると朗らかな光景にも思えるのですが、背景の家から出火しているように見えるのは気のせいでしょうか…。
ちょっと意味がわからない看板です。

看板のそばには仮設トイレの残骸がありました。
屋根も側壁も崩れ、内部の便器が露出しています。発破作業現場用に設置されたものだと思うのですが、これもやはり恵南豪雨による破壊なのか、それとも経年による自然崩壊なのか、判断がつきかねるところです。
そして奥には、苔むした巨木が倒れていました。

二枚の看板を上流側から。
ここだけ見ていると、大きな落石こそありますが、よく見かける平穏な廃道にしか見えません。

登り口まで戻ってきました。
斜面にへばりついて路盤まで登ってきた到達点で私を出迎えたのが、この石でした。

これだけの大きさ、重量ですから少々触ったところではびくともしませんが、豪雨や地震は、こんな巨大な石さえも容易く動かしてしまうのです。

 

次回へ続きます。

 

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