国道153号旧道 前橋

国道153号を北上し、稲武の町を抜けてしばらく走ると、国道は上柏洞橋で野入川を渡ります。そのとき左手に見える小さなコンクリートアーチ橋が、前橋です。

比較的高低差があり、流れもそこそこ早い谷間に架橋されています。
欄干はすっかり苔むしており、この橋が経てきた歳月の長さを窺わせます。

上の写真の通り、対岸は護岸改修が行われていますが、国道側は草生した石垣のままになっています。
橋台も立派な石積み。

両岸とも、橋台部から橋梁部に差し掛かるところで欄干の幅員が狭くなっています。
その変わり目のところに親柱が。

判読しにくいですが、「大正八年十二月架」と刻まれています。

対岸から。さすがに古い橋なので、2.0tの重量制限がかけられています。

対岸にあるもう一方の親柱にも、「大正八年十二月架」の文字が。
上の写真の親柱と対角線上にあるため、同じように架橋年が刻まれている模様です。そしてそれと対を成すべき親柱は…。

こちらだけ欄干の形状が異なり、おそらくは衝突事故か何かで破損したのを補修したものと思われます。
親柱はこの鉤型の箇所にあったはずなのですが、失われてしまっているようです。

そして国道側へ戻って見ると、路傍になにやら親柱と思しき柱状の物体が。
残念ながら銘は路面に接した裏側にあるようで、橋梁名などの文字は確認できませんでした。

駄目もとでひっくり返してみようと挑戦してみましたが、さすがにこの大きさ、重量なのでびくともしませんでした…。

シンプルで美しいフォルム。

この愛すべき小さな橋が、末永く両岸を結ぶかけはしとして活躍することを願うばかりです。

 

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