湯田貯砂ダム

岩手県西和賀町にある湯田ダムは、「日本のTVA」とも言われた北上特定地域総合開発計画に基づき建造されたダムです。
大規模な水没集落の移転や国鉄横黒線(現北上線)、国道107号平和街道の付け替え、民間製鉄会社の発電施設補償など、広範に影響を及ぼしつつ1964(昭和39)年に竣工しました。
ダムによって姿を表した湖は錦秋湖と名づけられ、現在ではカヌーや水上スキーなどの水上スポーツを楽しむ人が多く訪れています。

そんな錦秋湖も、ダム湖の宿命として流入河川からの土砂が堆積し貯水容量が減少することが予測されるため、上流部に土砂を貯めるためのダムが建造されました。
これが「湯田貯砂ダム」です。

アプローチは錦秋湖川尻運動公園から。公園の駐車場に車を停め、湖の方へ遊歩道を歩いてゆくと、轟音とともにダムが姿を現します。

錦秋湖の中でも両岸が狭隘に迫っている部分に建造されています。
ダム湖のかなり上流側に位置するため、堤高はさほど高くありません。

ダムの左岸側には魚道が設けられています。
しばらく眺めていましたが、訪問時には魚影は確認できず。

銘板が二枚掲示されています。

二枚の銘板に記述されてる内容は下記のとおり。

湯田貯砂ダム
完成 平成14年12月
天端標高 226.0m
堤高 17.5m 堤長 123.00m
国土交通省 東北地方整備局
施工 高弥建設株式会社 株式会社佐藤組

湯田貯砂ダムゲート設備
形式 ステンレス鋼製スライドゲート
水密方式 後面四方メタル水密
数量 2門
有効径間 2.000m
有効高さ 2.000m
開閉装置 油圧シリンダ式
設置年月 平成14年3月
国土交通省 東北地方整備局
制作会社 MARSIMA 株式会社丸島アクアシステム

このダム一番の特徴は、なんといってもダム内部が空洞になっていること。そのため越流部分を堤体内部から観察することができるのです。
当然の事ながらガラスなどでガードされている筈もなく、ものの見事に素通しです。

かなりの飛沫が通路に飛んできます。
訪問時期は夏場だったので、正直なところ若干臭いが気にならなくも無かったですが、圧倒的な迫力の前では、そんな些細なことを考えてはいけません。

ドドドドドドドドド。

動画も撮ったので貼っておきます。

対岸は親水広場のようになっていて、ゆったりと堤体全体を見渡すことができます。
なかなか裏からダムを眺めるという体験はできませんから、近くへ行く機会があれば、是非見学することをお勧めいたします。

場所はこちら。


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