国道103号 酸ヶ湯界隈の冬

国道103号は、青森県青森市から八甲田山中、十和田湖を経由して秋田県大館市に至る一般国道です。

八甲田山といえば明治時代の雪中行軍遭難事件が有名ですが、現在でも国道103号の経路にあたる酸ヶ湯温泉はアメダス観測地点で最高積雪深を記録するほどの豪雪地帯で、国道も一部区間は冬期閉鎖されていまいます。

酸ヶ湯温泉。周囲に硫黄の香りがたちこめる国民健康保養温泉第一号に指定された温泉です。
旅館部、湯治部を擁する非常に大きな酸ヶ湯温泉旅館という一件宿が通年営業しており、季節を問わず多くの観光客が訪れます。

津軽地方に暴風雪警報が発令され、交通にも大幅な乱れが生じた日の翌日、2013年2月9日に、まだ吹雪の残る中、国道103号を酸ヶ湯温泉から冬期閉鎖地点まで散策してきました。

酸ヶ湯温泉から閉鎖地点に向けて歩いてゆきます。
大型バスと比べると、いかに激しい積雪かがお分かりいただけると思います。

カーブミラーが壁掛けミラーのように埋もれています。

坂を上ってゆくと両脇の雪壁は少し低くなります。ここから先は遮蔽するものが何もなく吹きさらしになっているので、雪が積もりにくいのかもしれません。

十和田側から青森方面車線へ向けた電光掲示板。

「八甲田周辺の道路 夜間通行止」と表示されているのですが、着雪と文字のドット欠けでよく判読できません。
電球部分が発熱するからか、「八甲田」の辺りは雪が溶けて切り抜き文字のようになっています。

左の雪壁に何か穴のようなものが見えますが、これについては後日改めて。

ひたすら白の世界が続きます。

地獄沼が近づいてきました。

この辺りは、地獄沼のほかにも温泉噴気が噴出する場所に東屋とベンチをこしらえて、温まったベンチの上に座って温浴する「まんじゅうふかし」など見所のある観光の拠点となっています。シーズン中には路側帯には多くの車が停まるのですが、さすがにこの時期は全て雪に埋もれており、このすぐ先で道が閉鎖されてしまうため、訪れる人も疎らです。

地獄沼は旧爆裂火口跡で、沼には強酸性の温泉が湧出しており、大きな沼全体が温泉池になっています。
場所によっては非常に高温になっているそうで、外気温が-10℃を下回ったこの日も、対岸の水面からは湯気がもうもうと立ち上っていました。

これ以上進むと雪庇を踏み抜いて池に転落しかねないので、ちょっと離れたところから。

青看板。「十和田湖」、「奥入瀬渓流」、「焼山」と表示されているべき箇所に、「この先」、「冬期」、「閉鎖中」と上から貼られています。

少々分かりにくいですが、ここが国道と八甲田ホテルへ至る道の分岐点です。轍のついていて直進方向にあたる右手の道は八甲田ホテルへ、左へ緩やかにカーブしているのが国道部分になります。

八甲田ホテルは、冬期車で到達できる酸ヶ湯側の最奥部になっています。

分岐を左にカーブすると、雪の壁。はい終了です。

特にゲートなどが設けられているわけでもなく、唐突に除雪を諦めたという体で道が終わっています。
本来ならば両側の木々の間を抜けて、傘松峠を越えて睡蓮沼、猿倉温泉、蔦温泉方面へと進めるのですが…。
ここまででも十分厳しい気象環境でしたが、ここから先は厳冬期は本当に凄まじい風雪となるのでしょうね。

この通行止めのため、冬期に酸ヶ湯から蔦温泉・十和田市方面へ抜けるには、県道40号線、国道394号という八甲田連峰をぐるっと大迂回するルートを取らざるを得ません。

分岐地点から地獄沼・青森方面を振り返って。

こちら側の青看板はきちんと主要地点と距離が表示されていますが、一番上は「東北道」なのですが、雪に隠れてほとんどわかりません。緑色の四角が見えるので、まあ高速だな、とは推測できますが。

地獄沼から周辺の様子を動画で撮影しました。雪の降り方など大まかに把握していただけるかと思います。

そして翌2月10日。前日とはうってかわって午前中は晴天になりました。

雪の日と晴れの日とでは道が見せる表情も大きくことなるので、改めて散策してみました。
重苦しかった前日とは比べ物にならない爽やかな光景。雪壁の向こうにちらりとのぞく旅館の木造建築。

青空と雪のコントラストが鮮やかですね。

陽の光を浴びた雪壁に、木々のシルエットが浮かび上がります。

地獄沼も、前日のおどろおどろしい雰囲気から一変。
八甲田大岳を背景に光り輝く樹氷。

国道の閉鎖地点も前日の写真よりは分かりやすいかと。

たまたま八甲田ホテル私道の除雪作業に遭遇したので、動画を撮りました。
迂闊にも手袋を忘れて外出したので、撮影中寒風にさらされて手がちぎれるかと思いました(涙)

宿へ戻ると、JRの路線バスが停車中。
後尾をこちらへ向けた手前のバスが十和田湖ゆき、奥のこちらを向いたバスが青森駅行き。

JRバスもE5系とおなじはやぶさカラーでした。

場所はこちら。


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