富山地方鉄道「引退車両最後の競演」イベント その2

宇奈月温泉駅での小休止を終えて、特別列車は次の目的地、立山を目指します。
とはいっても、宇奈月温泉を出て少し走り電鉄黒部で10分の停車。停車時間恒例のヘッドマーク撮影会がまたスタートです。

電鉄黒部駅、ホームと線路が交互に並ぶ3面3線の特徴的な配線で、番線の付番も通常は駅本屋側から1番線とするか、下り線から1番、2番とするような一定の法則があるのですが、富山地方鉄道はなぜかこの番線の付け方が独特なのです。電鉄黒部駅の場合、駅本屋に最も近い屋根の無い線が2番線、中線が1番線、最奥の現在あまり使われていない線が3番線となります。

ちなみに、後の行程で岩峅寺で停車している間に、営業課の方へこの特異な付番方式について質問してみたのですが、「正確な事はよくわからない」との事でした(笑)

※富山地方鉄道の番線の付番方法の特異性については、下記もご参照ください。

スタッフの方が看板を次々と付け替えてくれます。

「普通 岩峅寺 南富山経由」。電鉄富山から上滝・不二越線経由で岩峅寺に向かう列車用のヘッドマークです。電鉄富山から岩峅寺へは、稲荷町で二手に分かれ、本線、寺田から立山線を経由するルートと、上滝・不二越線経由のルートの二つがあるため、上滝・不二越線経由の列車には「南富山経由」、本線、立山線経由の列車には「寺田経由」という注記がつきます。

こちらは上滝・不二越線経由の岩峅寺系統の相互矢印版。これだとヘッドマークをいちいち架け替える手間が省けますね。

続いては新魚津駅でも掲示された「臨時」。

そして「せっかく電鉄黒部なのだから」ということで、再びなつかしの「電鉄桜井」マークが掲示されました。

10分ほどの停車時間を終えると、列車は次の停車駅上市に向かいます。上市駅はスイッチバック駅であるとともに本線の中では比較的規模の大きい駅です。

ここで弁当の積み込みを行い、申し込み時に弁当を希望した参加者に配布されます。

撮影中、定期列車の14760形電鉄富山行が出発してゆきました。

配布されたお弁当は系列の立山黒部サービス株式会社謹製の彩花弁当。
引退記念限定の掛け紙が特別に用意されていました。

お弁当の中身は、立山黒部サービスのウェブサイトを見ると、

白飯(鮭フレーク、6種野菜、梅しらす)、ベーコングラタン、鶏唐揚、やまいも短冊、サラダ、卵焼、ミニトマト、さば塩焼、きのこ味噌、シュウマイ(ほうれん草)煮物(がんも・さつまいも)、青菜柚子、オレンジ、わらび餅

とのことでしたが、鶏唐揚とやまいも短冊の代わりに蓮根のはさみ揚げとコーンの入った練り物、ホタルイカの沖漬けなとが入っていました。

上市で弁当が配布されると、車内はややくつろぎモードに。

途中寺田駅では方向転換のため1番線から4番線へスイッチバックして転線するのですが、その光景を撮りたいと思いスタッフの方に伺うと、1番線では開扉するものの、4番線では開扉せずそのまま発車するという事だったので、おとなしく弁当を広げつつ立山までの間のんびりと車窓の風景を楽しみました。

しかし陣取った席は南側だったのですが、この日は日差しが強く、かなり暑かったです。10020形、一応冷房化はされているのですが、どうも効きが悪いようで…。

寺田から30分ほどで立山に到着。

引上線には14760形と、14720形が停まっていました。これは何かあるな…。

という訳で、ホーム端から望遠で引上線を撮影した後改札外へ出て踏切で撮影していると、列車が移動するので線路外へ出るように指示が出ました。

さきほどまで乗っていた、175+10026+10025の編成が引上線に入線しました。
これで引上線の終点側では10025号、14722号の湘南型二枚窓二両が並んだことになります。

上の写真を撮影後、14760形は立山駅へ向けて出発。
列車の停車位置が落ち着いたところでスタッフの方から指示があり、参加証を提示したイベント参加者は、撮影のため引上線構内に立ち入ることができました。

最初は10025号がやや立山駅寄りに停車していたので、14722号の側面をとらえつつ10025号を撮影。

その後14722号の先頭と10025号の先頭の位置を合わせるように再び車両の移動が行われ、2両並びの写真が撮影できるようになりました。

両者とも、「アルペン号」、「立山号」という富山地鉄を代表する花形特急のヘッドマークを掲げて往時の勇姿を再現していました。

一旦立山駅側へ移動し、172号を撮影。まずはヘッドマークを中心に。

175号の影に隠れて半分チラリと顔をのぞかせる10026号と並んで。

このように構内は多くの参加者で賑わいました。また、隣接する駐車場からも撮影は可能だったので、参加できなかったファンの皆さんも、引上線構外からではありますが、撮影を楽しまれていました。

丸い目玉の尾灯もすっかり見なくなりましたね…。

…というわけで約1時間の立山駅滞在中、10020形と14720形競演の撮影を堪能した参加者は再び立山駅へ戻り、特別列車に乗車し、「全線走破」を謳ったこの列車としては終点となる、電鉄富山駅を目指します。
往路は寺田経由でしたが、復路は上滝・不二越線経由になります。列車は立山駅を出発し、まずは立山線と上滝線の分岐駅である岩峅寺駅へ向かいました。

沿線の小見小学校では運動会が開かれており、記念列車へ向けて多くの方が手を振ってくださいました。運動会のアナウンスでも、この列車が引退することが紹介され、地元の方にも愛されていた事が伺え、胸が熱くなりました。

立山駅を出ると、列車は2013(平成25)年に土木学会選奨土木遺産にも指定された鋼製アーチ橋の千垣橋梁を渡ります。千垣橋梁は高さもあることから制限速度が抑えられており、列車はゆっくりと橋梁を進みます。

上の写真では参加者の皆さんが進行方向右手を眺めています。その先あるものは…。

千垣橋梁の撮影ポイントとなっている、富山県道182号芳見橋です。こちらはRCアーチ橋になっています。

芳見橋からは、多数のファンが千垣橋梁をわたる10020形の勇姿を写真におさめていました。

そして下流側に目を向けると、なんと常願寺川の川床にもカメラを構えた方々が。車内アナウンスのスタッフさんもとても驚いていらっしゃいました。
Twitterにこの写真をアップした際、「釣り用に道が付いているので川床へ降りるのは比較的容易」とのご教示を頂きましたが、アーチ橋がかかるくらいですから川床まではかなりの高低差があり、機材をもって降りられた方々の熱意に感心してしまいました。

そうこうするうちに、列車は岩峅寺に到着します。現在上滝線と立山線を直通する列車はほとんど存在せず、この連絡線を乗車して通過するのは貴重な体験でした。

 

以前当ブログでもご紹介した岩峅寺駅。相変わらずの風格です。

擦りガラスの駅名板も健在でした。

立山線立山側のポイント部分は、私たちが滞在している間、ずっと散水されていました。暑いとはいえレールが伸びるほどの暑さではないとも思いましたが、何故だか理由はわかりませんでした。

ふと175号に目をやると、気づかない間に運転席にお弁当の掛け紙が貼られ、彩りを添えていました。

175号、普段は今日の編成と同様に10025編成と組んで南富山経由の電鉄富山-岩峅寺の系統に運用されている僚友なのですが、車体は14760形と同型で当分廃車の予定も無く、しかも午前中は順光となる宇奈月温泉側に連結されていたので、10020形狙いで沿線で撮影されていた方は先頭が175号で若干残念な感じもあったかと思われ、肩身が狭かったのではないでしょうか(苦笑)

待機中の10025号の運転席を。ブレーキシューに掛けられた手袋が、いかにも「働く車両」という風情です。この光景を見られるのも残りわずか…。

ふと見ると、珍しくヘッドマークが掲示されていない状態になっていました。
すっぴんの10025号をパチリ。

いよいよ列車は岩峅寺を出発し、南富山経由で電鉄富山駅を目指します。手前の南富山駅では、最後の休憩停車。

南富山駅は富山市内線との接続駅でもあります。個人的には富山市内線は富山駅前から大学前までしか乗ったことがないので、いずれは全線乗ってみたいものです。

環状線の新設、旧国鉄富山港線(更に元を正せば富岩鉄道として開通した後に富山地方鉄道富岩線となり、国鉄に戦時買収)の富山ライトレールとの合併を控え、現在富山駅では市内線と富山港線を結ぶ工事が進展しており、富山の路面電車は発展の一途を辿っており頼もしい限りです。

次第に陽光が傾いてきました。南富山では完全に逆光だったのと、停車時間が短かったので、あまり撮影はできませんでした。

そして列車は15時前に電鉄富山駅に到着。これで富山地方鉄道鉄道線全線を走破したことになります。イベントはここで一時解散となり、車内の荷物も持って降りるよう指示されました。

そしてこのあと、いよいよ「引退車両最後の競演」の本番が始まります。

(つづく)

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