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Canon EF 

 Tシリーズとはうってかわって古めかしいカメラである。いわば「正統派」のデザインをしている。もちろん金属ボディである。私の所有する銀塩一眼レフカメラのラインナップの中では、最も古いカメラという事になる。

 実はこのカメラ、数年前に中古で購入したものなのだが、購入を決意してから実際に手に入れるまでに、実に4年の歳月を要した。私より1年だけ年下のこのカメラは、当時F-1(初代)のサブ機という位置付けの準高級機であったために、同時期の普及機FTbなどに比べてタマ数が極端に少ない。そして年式が年式だけに、なかでも程度の良いものを、と欲を出すとキリがなかったのである。

 今持っている物を買う前に、一度だけ購入直前まで行ったこともあった。頭の中では買う気満々で胸を躍らせていたのだが、実機を丹念にチェックするうちに、シャッターに不具合があることが判明して断念したのだ。その間約1時間。1時間も店頭で1台の中古のカメラをチェックする輩、というのも今にしてみれば如何なものかと思うのだけれど、それだけ当時、私はこのカメラに入れ込んでいたのだ。だから「やっとEFが手に入る」、という喜びが落胆に変わった瞬間の事は、今でも克明に覚えている。そして結局これが手元にやって来るまでには、更に2年の年月を必要とした。

 このカメラに入れこんだのには、もちろん理由があった。機械式制御という事である。時々とんでもない山の中で写真を撮ることがあるだけに、万一T90が電池切れでただの暗箱と化してしまったときにも、心強い味方となってくれる、と考えたのだ。

 それだけなら、F-1でも構わなかったのだろうけど、EFには、F-1では重いモータードライブを装着しないと利用できなかったシャッター優先AEが、標準で搭載されていたのだ。ぐうたらな私にはAEは必須だし、生まれてこのかたキヤノンのカメラだけで育ってきた私にとって、AEと言えばシャッター優先が当たり前。ゆえに、その武骨な中にもシンプルさを感じさせるデザインと共に、私はEFに惹かれて行ったのだ。

 だが、クラシックの部類に入るカメラだけに、万が一故障が発生した時には交換部品が無いので修理ができず、そのままジャンクという事になってしまう。廃盤商品ばかりでシステムを構築しているが故の悩み。そしてその悩みはこれから増える事はあっても減る事はないのだ…。

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