火の見櫓図鑑

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見張台

 「火の見櫓」というくらいなので、見張台(望楼)はその中で最も重要な役割を果たすものである。梯子型にはあまり見られないが、櫓型の火の見には必ず見張台が一つなしい二つ設けられている。

 見張台の欄干もまた、屋根飾りと同様に装飾的特徴が非常によく現れる部分であり、一つ一つを観察してみると、裾広がりであったりひげ飾りが取り付けられたりと、実に様々な表情を見ることができる。

 屋根から見張台、そして脚というのは一連の流れになっており、丸型は三本脚と四本脚それぞれに、三角型や六角型は三本脚に、そして四角型や八角型は四本脚の櫓によく見られ、やはり脚を基準にして丸型や倍数角というのは、デザイン上でも破綻が少ない事が窺える。

丸型

細めの資材で造られ繊細な印象。装飾は施されていない。
(長野県上田市)

装飾的要素は無く太目の資材で組まれており力強さを感じさせる。
(長野県南牧村)

裾が膨らんだようにデザインされている。手すり部分のトゲのようなものはホースを干す際に掛けるフック。
(長野県小海町)

裾に丸みがあり、更にひげ飾りが施されていて柔らかさを感じさせる。
(長野県佐久市)

手すりが外側に反ったデザイン。
(静岡県富士市)

三角型

三角の見張台のうち、梯子の出入口のある部分だけが円弧上に膨らみを持たせてある。角は隅切りされている。
(長野県富士見町)

柵の下辺にだけ円弧状の装飾が施されている。角は隅切りされている。
(岐阜県恵那市)

シンプルな三角形の見張台。角は隅切りされておらず鋭角になっている。
(静岡県浜松市)

三本脚の櫓の上層部が撤去され、踊り場部分が見張台に転化した例。
(山形県尾花沢市)

四角型

四隅をがっちりとした太いアングルで構成し、間の柵にはひげなどの装飾を丁寧に施したもの。
(山梨県南アルプス市)

柵自体がカールしており、装飾を兼ねたデザインになっている。
(山梨県北杜市)

丸型でも見られた、裾を膨らませたタイプ。
(愛知県東浦町)

四隅にRがつけられ、四角型ながら少し柔らかい印象。
(愛知県蟹江町)

下辺にだけ円弧状に外側へ膨らむ装飾がなされている。
(愛知県豊田市)

柵にひげ飾りがきめ細かく施されており、デザイン的にアクセントになっている。
(山梨県裾野市)

六角型

六角型の一辺が梯子の出入口になるため、円弧状に外側へ膨らんでいる。
(長野県富士見町)

前のタイプと構造的には類似しているが、梯子の出入口は中央にあるためすっきりしたデザインになっている
(長野県富士見町)

柵の一辺が、梯子の出入口として完全に開放されている。
(新潟県五泉市)

八角型

柵はひげ飾りで装飾されているが、飾り自体は控えめな印象。
(秋田県仙北市)

装飾を一切設けず、遊びのないデザイン。
(山形県鮭川村)

太目の資材を用いた格子状の柵が骨太な印象。
(岐阜県揖斐川町)

変種

外壁とガラス窓が設けられており、見張台というより監視小屋のように見える。
ガラスの向こうに見える半鐘が、火の見櫓である事を示している。
(長野県南牧村)

一般的な形状の見張台に外壁とガラス窓が設けられている。
(茨城県常総市)