火の見櫓図鑑

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 鋼製の櫓の場合、通常は等辺山形鋼(アングル)や鋼管を用いて、主柱材(脚)に斜材、水平材を組み合わせて建造される。また、多くの場合、主柱材はある程度の長さ(高さ)が必要となるため、途中で分割し、リベットやボルトを用いて接合する方式を採用している。

 火の見櫓の場合、大半は町の鉄工所が注文に応じて一基ずつ製作したものであり、特に標準化のための規格はない。そのため、製作者や時期によって部材の組み方にも様々なバリエーションを見る事ができる。

結合部

最もオーソドックスなガゼットプレートを利用したリベット留めによる締結。かつてはボルトでは強度的に経年変化で緩みが生じる不安があったため、リベット留めが主流となっていた。
(静岡県富士市)

鋼管を組んだ櫓で、一般の配管のように管フランジをボトルで締結している。
主柱材と水平材、斜材との連結は、全て溶接による。
(群馬県安中市)

水平材、斜材との結合を全てガゼットプレートへの溶接により行っている。
鋲の頭が出ていない分、外見上はすっきりとしている。
(長野県小海町)

強度の高いボルトが開発された事から近年一般的に採用されているボルト締結式。
そのため、ボルト締結の櫓は比較的建造年次が新しいものが多い。
(秋田県鹿角市)

ブレース(斜材・筋交)

丸棒鋼材をリング状のバックルで締結した、火の見櫓のブレース構造としては最もポピュラーなもの。
(愛知県豊田市)

遠目にはリング状のバックルに見えたのだが、斜材は平鋼で、交差部に円形のプレートが補強で接合されている。
(秋田県小坂町)

太目の平鋼製の斜材をX字状に組んだ上に、交差部にも水平材を加えたもの。非常に堅牢な印象を受ける。
(岐阜県揖斐川町)

平鋼の斜材をX字型に組んだもの。交差部はボルトの一点留め。
(静岡県裾野市)

三本脚のためか斜材は片方向のみで、水平材とZ字状になっている。
(山梨県大月市)

Kトラスを逆さまにしたような、V字構造の斜材。あまり火の見櫓では見かけない構造。
(秋田県鹿角市)

丸棒鋼材をクロスさせたもの。ただそれだけであればありふれた物だが、張力調整に枠式ターンバックルを用いている。
(秋田県鹿角市)