青森市街から県道40号を八甲田方面に進み、雪中行軍遭難者銅像のある銅像茶屋を越えた先の林道を入った先に、田代元湯はあります。八甲田山の雪中行軍で遭難した部隊が、目的地としていた事で知られる温泉です。
かつては「やまだ館」という旅館が一軒営業していましたが、現在は既に廃業しており、現在では有志の方々が残存する露天風呂を整備して入浴できる状態を維持しています。
林道を少し下ると、視界が開け、非常に立派な舗装道路に行き当たります。この先ではダム工事が進められており、その状況次第では、今後田代元湯は湖底に沈む可能性もあるようです。舗装道路から先は工事車両専用となりますので、車は道路手前の駐車スペースに留め置いて徒歩でアプローチすることになります。
しばらく舗装された坂道を下ると、道の脇から山道へと分かれます。分岐点には工事現場の方が作った「元湯」という看板が掲げられているので、それを目印に山道へと進みます。

山道に入って更に進むと、仮設橋で沢を渡ります。以前の橋は鉄パイプで組まれたものが半分崩れかけたもので、渡るのは非常に危険だったようですが、現在は工事用足場などを用いて比較的安定した橋が造られています。とはいっても前後の岩は苔で滑るので、渡る際には注意が必要です。
沢を渡り、暫く川沿いに進むと吊り橋があります。橋の向こうには旅館の倉庫の廃屋とゆけむりが見えてきて心がはやるのですが、橋の袂には「ここから先は通れません。万一のことがありましても責任は負いかねます。所有者」という看板が立てられています。
実際橋をよく見るとかなり粗末な造りであまり強度は望めそうにもありません。グループで訪れた場合などは、一人ずつ渡った方が良いかもしれません。

橋の上からも見える露天の岩風呂へは、廃屋の裏手を回り込んで到達します。浴槽と言われれば浴槽ですが、何も知らずに見れば鯉でも泳いでいそうな池にも見えます。源泉は橋に向かって左手から川のように流れ込んでいます。

この浴槽は苔や藻が繁茂して浴用に適さない事が多いようなのですが、私が訪問した時には清掃が行われた後だったのか、あまり気にすることなく入浴できました。
浴槽は広いため湯温は適温~やや温め。川が間近に迫る野趣溢れる佇まいを味わえます。
岩風呂から先に奥には、木造の浴槽が作られています。こちらもタイミングが悪いと苔のぬめりが酷いようなのですが、訪問時は紅葉時期なので落葉は酷かったのですが、浴槽自体は特に問題ありませんでした。有志の方々が清掃に使う道具も置かれていますので、もし清掃が行き届いていない時は、一旦清掃してから入浴された方が良いでしょう。


湯は僅かに白濁しており、金気臭がします。口に含むと弱い鉄味。湯温は非常に高く体感45度程度でしょうか。熱くてあまり長い間浸かっていられないのが残念です。
この浴槽の奥にはかつての内湯があった建物が崩壊しており旧浴槽に湯が溜まっているのが見えますが、こちらは全く整備されておらず浴用には適していませんでした。
川音だけが響く山中に滔々と湧き出す温泉は、いつまでも守り続けて行きたいものです。ダム工事の進展が非常に気になります。
なお、現地は山中ですので、熊や蛇などとの遭遇、その他不慮の事故に遭う危険があり、携帯電話の電波も不通のため救護の手配などができない場合があります。
管理者の常駐する温泉施設ではなく、あくまで野湯ですので、山歩きに適した装備をすると共に自己責任で訪問して下さい。
■データ
料金/無料
時間/24時間(夜間は危険)
定休日/なし
泉質/不明
サイト/なし
住所/青森県青森市