岩手県の北上市から一時間ほど走った先、こんなところに温泉旅館があるのかと疑問にさえ思える山間の、突如開けた場所に夏油温泉があります。宿泊部・自炊部あわせて8棟を擁する元湯夏油をはじめ、国民宿舎夏油山荘、昭和館などが立ち並び、さながら温泉街のような佇まいです。

元湯夏油の入口で入湯料を支払いゲートのようになっている渡り廊下を横切ると両脇に温泉街のように建物が並んでいます。大半は元湯夏油の建物で、食堂や売店も設けられています。

非常に多くの風呂が設けられており、屋外にはそれぞれ源泉の異なる「大湯」、「滝の湯」、「疝気の湯」、「真湯」、「女の湯(目の湯)」の5つの風呂が点在し、他に旅館の内湯として「白猿の湯」、「小天狗の湯」があります。内湯は宿泊者のみの利用となっているようです。
時間帯によって女性専用となる風呂がありますが、それ以外は大半が混浴で、しかも水着・タオルなどの着用が禁止されているため、女性は日中の利用には少々度胸というか勇気が必要かと思います。

「大湯」は湯温が高く源泉は足元から湧出。無色透明で硫黄臭、口に含むとほのかに塩味がします。脱衣所は男女別ですが浴槽は混浴です。
「疝気の湯」は非常に温く、こちらも源泉は足元湧出で、泡がプクプク沸いています。露天風呂は全て夏湯川に沿っていますが、この湯が最も川面に近く、せせらぎの音が心地よく響きます。脱衣所は浴槽の傍らに簡素な棚があるだけで男女の区別もありません。また、囲いもなく周囲から素通しで見えるので、女性が入浴するのには最も難度が高い湯だと思います。湯は僅かな濁りのある足元自噴。
「真湯」は「大湯」同様男女別の脱衣所を備えた混浴露天。湯は無色透明で弱硫黄臭、弱塩味。
「女の湯」は「真湯」の前の簡素な木橋で夏油川を渡った対岸にあり、浴槽は「大湯」、「真湯」にくらべ一回り小さいです。足元自噴の湯は無色透明で弱金気味。疝気の湯ほどではありませんが湯温はぬるめで比較的長く入っていることが出来るでしょう。
私の訪問した際には、巡り合わせが悪く「滝の湯」は女性専用時間に当たっていたので入浴は叶いませんでした。
宿泊のみの利用となりますが、内湯の「白猿の湯」は無色透明でなめらかな肌触りの湯。特徴的な露天が多いからか普段から空いているようです。
また、小天狗の湯は他の湯が入浴不可な深夜帯にも入浴でき、施設の中では最も新しく清潔な印象のある湯です。湯は無色透明で弱塩味。析出物が湯口や床などに結晶化しています。私が入浴した際には湯温は少し低く感じました。
とにかく沢山の源泉があることと内湯は宿泊者専用なので、じっくりと全ての湯を楽しむには宿泊をお薦めします。
私の訪問したのは平日夕方から翌朝にかけての宿泊だったので、あまり人がおらず直接体験した訳ではないのですが、残念な事に最近は混浴であることから一部マナーの悪い人々がおり、気軽に女性が入浴できない雰囲気の時もあるそうです。
素晴らしい湯を訪れた人全てが心地よく共有できるようにしたいものです。
■データ
料金/400円
時間/6:00~20:00
定休日/なし(冬季休業)
泉質/ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 ほか
サイト/http://mizuki.sakura.ne.jp/~geto/
住所/岩手県北上市和賀町岩崎新田1-22